ボードゲーム「オルレアン」の海外版を買いました。遊びやすくするために、タイルやボードを和訳して、日本語化を行いました。
「完全日本語版」が入手しにくい状況と思いますので、海外版の購入を検討している方に、参考になれば幸いです。
<オルレアン関連記事一覧>
・ボードゲーム「オルレアン」購入レビュー
・オルレアン:コンポーネント収納の工夫
・オルレアン:物品の日本語化に挑戦
・オルレアン:拡張「交易と陰謀」&「侵略」の比較検討
★はじめての「海外版ボードゲーム」は英語&ドイツ語!
「アルマ・マータ(Alma Mater)」の購入をきっかけに到来した、我が家の空前のボードゲームブーム。とうとう海外版のボードゲームの購入に至りました。「オルレアン(Orleans;オルリアン、オーリンズ)」というゲームです。2015年に発売された、dlp gamesの商品で、言語はドイツ語&英語のバイリンガルです。

マニュアルは、前半がドイツ語、後半が英語で、同じ内容が書かれています。末尾の付録は、ドイツ語と英語の併記になっています。独英の対訳ができ、ドイツ語の勉強に好適そうです。

タイル類の多くは、文字の記載はなく、言語依存は非常に少ないです。ごく一部のタイル(場所タイル、イベントタイル)には文字の記載がありますが、これはドイツ語のみです。プレイヤーボードは両面仕様で、片面がドイツ語、他面が英語です。

ゲームの流れ(フェーズ)を示す説明書きタイルがありますが、英語とドイツ語。大人はともかく、子供には読めません。

★準備万端! 自前マニュアルは2種類用意!
この「オルレアン」の購入に当たっては、事前に海外版のマニュアル[1]を詳細に調べました。その結果、言語依存性がきわめて低く、海外版を購入しても問題ない、という結論に至りました。ただ、最初にルールを理解するためには、どうしても、きちんとした日本語のマニュアルが必要です。家族で遊ぶには、少なくとも私が、正確なルールを知る必要があるからです。また、娘10歳は決め事にうるさく、「本当の正しいルール」を知りたがります。そんなわけで、だいぶ手間がかかりますが、自前で和訳して、日本語版ルールブックを作成しました。(海外版はネットで公開されていますが、日本語版は公開されていないのです。)
[1]dlp games Verlag: Spiele - Orleans
https://www.dlp-games.de/spiele/orleans

最初に作成した日本語マニュアルは、英語版をそのまま和訳しました(ドイツ語のほうが正確なのですが、さすがにドイツ語の長文はきつい)。しかし、一緒に遊ぶ家族が全体を理解するには、少々冗長すぎます。そこで、あわせて「要約版マニュアル」も作りました。内容を要約しつつ、かつ必要なルールは省かず、コンパクトにまとめました。「場所タイル」の早見表が自慢です(写真は校正中)。

★ボード&タイルの日本語化で、ゲームの魅力がアップ!
購入前に私と娘10歳はマニュアルを熟読し、準備は万端です。待ちに待った最初のプレイ、大きな問題なく、ゲームを終えることができました。ただ、数回のプレイを繰り返すうち、少しやりにくさを感じるようになりました。毎ラウンド訪れる「イベント」があるのですが、「家の数だけお金をもらえるやつ」とか「商品を1個払うやつ」とか、内容の特定が煩雑なのです。また、アクションを提供する「プレイヤーボード」や「場所タイル」も、「先生がもらえるところ」「コインとポイントがもらえるやつ」など、直接的な表現になってしまい、いまひとつゲームの雰囲気が楽しめません。イベントや場所は、ぜひとも日本語化する必要があると感じました。

各タイルやボードに、テプラ(ネームランド)のラベルを貼り付けて、日本語化を行いました。これは「場所タイル」です。

20枚の場所タイルの日本語版が完成しました。私は中世の文化に詳しくないので、適切な和訳に苦労しました。英語だと雰囲気が分からない部分は、ドイツ語に戻って調べてみたり、なかなか骨の折れる作業です。中世に「薬局(Pharmacy / Apotheke)」なんて、あったのでしょうか。

そして「イベントタイル」も。「Income / Einnahmen」は「収入」では直接すぎるよなー、発展ポイントが高いほど高収入なら「好景気」にしよう、とか、適宜意訳を入れています。自前和訳ならではの楽しみです。

続いて「公共事業」ボードです。英語のときはただの「ワーカー捨て場」だったこのボードです。ところが、「疫病の撲滅」や「天文学の研究」などの日本語ラベルが付くと、崇高な事業に参画するアクションに見えてきます。その結果、ここが単なる捨てゴマ置き場ではなく、ポイントを取る有用な手段であるという見方ができるようになりました。言葉って、重要ですね。

最後にプレイヤーボード。ゲーム中、毎回使う重要な場所ばかりです。アクションスペースは「場所(Place / Ort)」ということで、場所を示す表現に統一するよう、注意しました。「船(Ship / Schiff)」「車(Wagon / Wagen)」は、それぞれ「船着き場」「街道」として、手段ではなく、あくまで場所を示すようにしています。こうした意訳によって、「場所にワーカーを置いて、彼らによってアクションを実行する」というゲームの基本コンセプトを統一的に伝えられて、いっそう遊びやすくなるのではないか、と考えました。

さらにサービス! 長男6歳が使う青色のプレイヤーボードは、「ひらがな」で表記しました。小学1年生で、まだ文字を習っている長男ですが、これが文字を学ぶ手助けの1つになればよいな、と思っています。

★ボード&タイルの日本語化で、ゲームの魅力がアップ!
オルレアンの英語&ドイツ語版の、説明書・タイル&ボードを和訳しました。メリットとデメリットです。
◎メリット
・イベントや場所の呼称がプレイヤー間で統一され、意思疎通がしやすい。「うわー、疫病だー!」というように、ワンフレーズで心境を共有できる。
・自前なので、プレイヤーに合わせて表記(漢字/ひらがな)を変更できる。
・英語の勉強になる。ときには、ドイツ語の勉強にすらなる。
◎デメリット
・「海外版ボードゲーム」という雰囲気が壊れる。
・コレクション的には価値が下がるかも。(ゲームを存分に楽しむ視点では価値が高まるとしても。)
・素人の和訳は、時代考証に合わないかもしれない。
「オルレアン」は言語依存は少なく、タイルやボードの日本語化は不要と思っていました。しかし、実際に日本語ラベルを付けてみると、驚くほど遊びやすく、プレイヤー間での盛り上がりが生まれるようになりました。やってヨカッタ!!
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「完全日本語版」が入手しにくい状況と思いますので、海外版の購入を検討している方に、参考になれば幸いです。
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「アルマ・マータ(Alma Mater)」の購入をきっかけに到来した、我が家の空前のボードゲームブーム。とうとう海外版のボードゲームの購入に至りました。「オルレアン(Orleans;オルリアン、オーリンズ)」というゲームです。2015年に発売された、dlp gamesの商品で、言語はドイツ語&英語のバイリンガルです。

マニュアルは、前半がドイツ語、後半が英語で、同じ内容が書かれています。末尾の付録は、ドイツ語と英語の併記になっています。独英の対訳ができ、ドイツ語の勉強に好適そうです。


タイル類の多くは、文字の記載はなく、言語依存は非常に少ないです。ごく一部のタイル(場所タイル、イベントタイル)には文字の記載がありますが、これはドイツ語のみです。プレイヤーボードは両面仕様で、片面がドイツ語、他面が英語です。

ゲームの流れ(フェーズ)を示す説明書きタイルがありますが、英語とドイツ語。大人はともかく、子供には読めません。

★準備万端! 自前マニュアルは2種類用意!
この「オルレアン」の購入に当たっては、事前に海外版のマニュアル[1]を詳細に調べました。その結果、言語依存性がきわめて低く、海外版を購入しても問題ない、という結論に至りました。ただ、最初にルールを理解するためには、どうしても、きちんとした日本語のマニュアルが必要です。家族で遊ぶには、少なくとも私が、正確なルールを知る必要があるからです。また、娘10歳は決め事にうるさく、「本当の正しいルール」を知りたがります。そんなわけで、だいぶ手間がかかりますが、自前で和訳して、日本語版ルールブックを作成しました。(海外版はネットで公開されていますが、日本語版は公開されていないのです。)
[1]dlp games Verlag: Spiele - Orleans
https://www.dlp-games.de/spiele/orleans

最初に作成した日本語マニュアルは、英語版をそのまま和訳しました(ドイツ語のほうが正確なのですが、さすがにドイツ語の長文はきつい)。しかし、一緒に遊ぶ家族が全体を理解するには、少々冗長すぎます。そこで、あわせて「要約版マニュアル」も作りました。内容を要約しつつ、かつ必要なルールは省かず、コンパクトにまとめました。「場所タイル」の早見表が自慢です(写真は校正中)。

★ボード&タイルの日本語化で、ゲームの魅力がアップ!
購入前に私と娘10歳はマニュアルを熟読し、準備は万端です。待ちに待った最初のプレイ、大きな問題なく、ゲームを終えることができました。ただ、数回のプレイを繰り返すうち、少しやりにくさを感じるようになりました。毎ラウンド訪れる「イベント」があるのですが、「家の数だけお金をもらえるやつ」とか「商品を1個払うやつ」とか、内容の特定が煩雑なのです。また、アクションを提供する「プレイヤーボード」や「場所タイル」も、「先生がもらえるところ」「コインとポイントがもらえるやつ」など、直接的な表現になってしまい、いまひとつゲームの雰囲気が楽しめません。イベントや場所は、ぜひとも日本語化する必要があると感じました。

各タイルやボードに、テプラ(ネームランド)のラベルを貼り付けて、日本語化を行いました。これは「場所タイル」です。


20枚の場所タイルの日本語版が完成しました。私は中世の文化に詳しくないので、適切な和訳に苦労しました。英語だと雰囲気が分からない部分は、ドイツ語に戻って調べてみたり、なかなか骨の折れる作業です。中世に「薬局(Pharmacy / Apotheke)」なんて、あったのでしょうか。

そして「イベントタイル」も。「Income / Einnahmen」は「収入」では直接すぎるよなー、発展ポイントが高いほど高収入なら「好景気」にしよう、とか、適宜意訳を入れています。自前和訳ならではの楽しみです。

続いて「公共事業」ボードです。英語のときはただの「ワーカー捨て場」だったこのボードです。ところが、「疫病の撲滅」や「天文学の研究」などの日本語ラベルが付くと、崇高な事業に参画するアクションに見えてきます。その結果、ここが単なる捨てゴマ置き場ではなく、ポイントを取る有用な手段であるという見方ができるようになりました。言葉って、重要ですね。

最後にプレイヤーボード。ゲーム中、毎回使う重要な場所ばかりです。アクションスペースは「場所(Place / Ort)」ということで、場所を示す表現に統一するよう、注意しました。「船(Ship / Schiff)」「車(Wagon / Wagen)」は、それぞれ「船着き場」「街道」として、手段ではなく、あくまで場所を示すようにしています。こうした意訳によって、「場所にワーカーを置いて、彼らによってアクションを実行する」というゲームの基本コンセプトを統一的に伝えられて、いっそう遊びやすくなるのではないか、と考えました。

さらにサービス! 長男6歳が使う青色のプレイヤーボードは、「ひらがな」で表記しました。小学1年生で、まだ文字を習っている長男ですが、これが文字を学ぶ手助けの1つになればよいな、と思っています。

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オルレアンの英語&ドイツ語版の、説明書・タイル&ボードを和訳しました。メリットとデメリットです。
◎メリット
・イベントや場所の呼称がプレイヤー間で統一され、意思疎通がしやすい。「うわー、疫病だー!」というように、ワンフレーズで心境を共有できる。
・自前なので、プレイヤーに合わせて表記(漢字/ひらがな)を変更できる。
・英語の勉強になる。ときには、ドイツ語の勉強にすらなる。
◎デメリット
・「海外版ボードゲーム」という雰囲気が壊れる。
・コレクション的には価値が下がるかも。(ゲームを存分に楽しむ視点では価値が高まるとしても。)
・素人の和訳は、時代考証に合わないかもしれない。
「オルレアン」は言語依存は少なく、タイルやボードの日本語化は不要と思っていました。しかし、実際に日本語ラベルを付けてみると、驚くほど遊びやすく、プレイヤー間での盛り上がりが生まれるようになりました。やってヨカッタ!!
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